グループホームというのは通称で、介護保険法内では、「認知症対応型共同生活介護」という表記になっています。認知症の方が、小規模な生活の場で少人数(5~9人)を単位とした共同生活住居の形態で、食事の支度や、掃除、洗濯などをスタッフがご入居者と一緒に行い、一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、認知症状の進行を穏やかにし、家庭介護の負担を軽減するという役割を持っています。
認知症グループホームは、認知症の方にとって、生活しやすい環境を整え、少人数の中で「馴染みの関係」を作り上げることによって、生活上のつまづきや行動障害を軽くし、心身の状態を穏やかに保つことができます。また、認知症の方に対しては、過去に体験したことがある役割を担っていただいたりして、潜在的な力に働きかけます。そのようにして、お年寄りの失われかけた能力を再び引き出し、「生活スタイルを再構築する」ことが可能です。
認知症は、集団の中で、画一的にケアを受けていると、生活そのものがケアに支配され、自己が失われていくような不安を感じます。そうした不安を感じさせないように、認知症の方を生活の主体者としてとらえ、個々の生活を重視し、残された能力を最大限に活用できるような環境を提供します。認知症の方は、過去に体験した「思い」をその暮らしの中で展開できる、家庭に近い環境を必要とします。
認知症グループホームのケアは、認知症の方が混乱しないで今までとできるだけ変わらない生活を送ることができるようにすることを何よりも優先します。
認知症の方が、「心身の痛みを和らげ」、「心を癒し」、「生活に満足できる」ようにご支援します。
快適であたたかい暮らし。
ご自宅から使い慣れた家具や趣味の品々を持ち込んでいただき、ご自分の空間をお作りいただけます。
ご入居者と職員は、同じ屋根の下の家族・友人として温かい交流がなされます。
居間などの空間は、セミパブリックスペースとして個室でも集団でもない距離で過ごすことができる場です。
ご入居者にお手伝いいただきながら、職員が食事をお作りし、共に会食します。
お一人でゆっくりと入っていたただけるよう、職員は安全に配慮しながら見守り介助をさせていただきます。
車椅子対応型トイレ、男性用小便器トイレ、普通様式トイレが設置され、ご入居者の使いやすいものを選んでいただけます。
さっきのことを忘れてしまう/同じことを繰り返す
今がいつなのか、ここがどこなのか分からない
[例]寒くても薄着のまま外へ出る
真夏でもセーターを着ている
人によって差があり、怒りっぽくなったり、不安になったり、
異常な行動が見られたりすることがあります。
環境・対応によっては症状が軽減されることがあります。
グループホームはここへのアプローチを主に行います。
しまい忘れたり、置き忘れたりした財布や通帳を誰かが盗んだ、自分に嫌がらせをするために隠したという「物取られ妄想」の形をとることが多い。このような妄想は、最も身近な家族が対象になることが多い。この他に、「嫁がご飯に毒を入れている」という被害妄想や、「主人のところに女が来ている」といった嫉妬妄想などということもあります。
認知症では、幻聴よりも幻視が多い。「ほら、そこに子供たちが来ているじゃない」「今、男の人たちが何人か入ってきたのよ」などといったことがしばしば見られることもあります。
不安や焦燥のために、逆に依存的な傾向が強まることがあります。一時間でも一人になると落ち着かなくなり、常に家族の後ろをついて回るといった行動が現れることがあります。
認知症の初期には、新たに通い始めた所への道順が覚えられない程度ですが、認知症の進行に伴い、自分の家への道など熟知しているはずの場所で迷い、行方不明になったりします。重症になると、全く無目的であったり、常道的な歩行としか思えない徘徊が多くなります。
特に、行動を注意・抑止する時や、着衣や入浴の介助の際におきやすい。型にはめようとすることで不満が爆発するということが少なくない。また、幻覚や妄想から二次的に生じる場合もあります。
認知症の進行と共に、夜間の不眠、日中のうたた寝が増加する傾向にあります。
理由は分かりませんが、認知症の高齢者の多くは入浴を嫌がるようになります。「明日入る」「風邪をひいている」などと口実をつけ、介護に抵抗したり、衣服の着脱が苦手であること、浴室の床で転ぶかもしれないことなど、運動機能や条件反射が鈍くなっているための不安、水への潜在的な恐怖感などから生じると考えられます。
食事をしても、「おなかがすいた」と訴える過食がみられたり、食べられないものを口に入れる、異食が見られることがあります。
意欲の低下(何もしたくなくなる)や、思考の障害(思考が遅くなる)といった、うつ病と似た症状が現れることがあります。うつ病では、「気分や感情の障害(悲しさや、さびしさ、自責感といったもの)を訴えることがあるが、認知症では訴えることは少ないです。
上記の症状がみられ、介護者等周囲の人の生活にも影響があります。
しかし、一番混乱しているのはご本人であり、
ご本人がその症状と闘っていることを私たちは理解しなければなりません。
学校給食のように、献立が決まっているわけではありません。「なに食べようか」など、ご入居者と職員が一緒に考えます。お買い物に行って、旬の食材やその時の状況に応じたものを買っていきます。
調理も野菜や果物を切るなどは、女性のご入居者は理屈でなく体で覚えている方も多くいらっしゃいますので、安全面を見極めた上で、やっていただきます。盛りつけも、食器の種類や大きさを選びながら、楽しみながらやっています。
身体能力の衰えなどで、自力での食事の摂取が難しくなってくる方もいらっしゃいます。ですが、自力摂取が難しいからといって、さっさとスタッフが介助してしまうのは、その方の自力摂取の道を妨げることになります。
ご入居者の能力の見極め(ご本人が食べたいという意志があるのか、食べ物を食べ物として認識しているか、身体能力のどの点が衰えたから摂取が難しいのかなど)を行いながら、、少しでもご自分の意志で召し上がっていただくよう支援していきます。
ご自分のお部屋はご自分で。共有スペースは、ご入居者が協力しあいながら職員と共に掃除します。
もちろん、屋内だけでなく、ホームの周りや庭掃除などをすることで、ご近所の方から声をかけていただいたりしています。
ご自分で洗濯を希望される場合はご自分でやっていただいています。その日の天気や季節を感じながら洗濯物を干せるように環境を作っています。
ご入居者とスタッフが一緒に洗濯物をたたんだり、片付けたりしています。
入浴の意志などを確認しながらご入浴いただいています。お風呂好きな方は毎日ご入浴されています。拒否される方に対しては無理強いはせず、「なぜ拒否されるのか」「どうしたらご入浴する気持ちになるか」などを考えていきます。
温泉施設に何度か通って、お風呂の気持ちよさ、楽しさを思い出してくださり、ホームのお風呂にご入浴した、という例もたくさんあります。
排泄は直接健康を確認できるということで、大変重要です。ですが、ご本人の自尊心に大きな影響を与える可能性もあるため、十分な配慮を必要とします。
排泄の感覚が残っているかどうかは、ケアを考える上でも、重大な転換点の1つです。もし、排泄感覚が残っていなくても、誘導したり、汚れたときはすぐに清潔な状態に戻すことを根気よく続けていくことで、排泄感覚が戻ってくることも充分あります。
身だしなみと衛生保持の両面があります。身だしなみは、ご本人の意向を尊重しています。着脱衣も全て介助するのではなく、過剰にならないよう、ご本人の能力に応じた支援を行います。
特に女性はお化粧をしたり、マニキュアを塗ったりしていると、笑顔がよりいっそう素敵になります。
そのほかにも、畑やプランターで花や作物を育てたり、ビデオをレンタルしたり、
外食・出前をとるなど、普段の家庭生活と変わりありません。
能力や様子を見極めながら、その方に合った援助をしていくことが
認知症ケアに一番重要であると私たちは考えます。
その他ご質問等ございましたらお気軽に下記までご連絡ください!